家じゅうのドアを自由に開けられるようになった吉平が手に負えません。
今まではある意味、ドアが吉平の行動範囲を制限していたところがあるんだけど、今ではそれすらも出来やしない。
ドアを開けることで吉平は家中どこでも好きなところに行く事ができるようになった。吉平の行く手を止めることはもはや誰にもできやしない。どこでもドアとはまさにこんな吉平のためにあった言葉であったか。
例えばウンコしてたとするじゃないですか。
ウンコの時間ってまあ言うなら個人の時間だと思うんです。陰部をさらけ出し、便座にその身をゆだね迷走する数分間。神すら介入できない完全なるプライベートタイム。自分が自分らしくなれるひととき…。ぼくがぼくであるために。それがウンコの時間、略してウンコなんです。
みんなも食後のウンコとかって至福のひと時だと思うんだけど、9割方開きますからね。トイレのドアが。音もなくスゥ〜…って開くんですよ。これじゃあおちおちウンコも嗜めない。
吉平:「ちゃーちゃーん」
(訳:父ちゃん)
ニヤニヤして悪い顔しながら開けにくるわけです。
まあ俺も仕方がないので「おやおや、遠いところよく来たね」みたいな遠方歓迎スタイルで吉平を出迎えるんだけど、ドアを開けることで満足するらしく、いつも吉平はそのまま去っていきます。
全開で開け放たれたトイレのドアに全開でモリモリしてる32歳の男。心はすでに全壊に近い。
まあ俺もウンコの切れ目なんかを見て、ウンチングスタイルのままサササとドアを閉めに行くんだけど、閉めると吉平はまた開けに来るのでタチが悪い。
ウチは玄関入ってすぐのところにトイレがあるものだから、この状況で誰か訪ねてきたら…と考えると非常にハラハラします。
例えば。一週間くらい何も食べていない旅人が突然やってくるかもしれない。
そういった旅人ってほら、まず食にありつくのが最優先なものだから、インターホンならすなんて心意気持ってるとはとても思えない。突然ドア開けて倒れこんでくるように入ってくると思うんです。
「何…か食べ物…を…」
旅人だって何も好きで飢えてるわけじゃない。
旅先で財布を無くして、さらに交通手段もなくて、それで仕方なく徒歩でトホホな感じで歩き続けて一週間。ようやくみつけた民家だったのかもしれない。
民家を見つけたとき、旅人はどう思ったでしょうか。
この飽食の日本において、よもや食べ物を恵んでもらえない、なんて事があるはずはない。【民家=食事】という図式が旅人にはあるはず。まさか飽食すぎてウンコをしてる人と対面するなんてことは想像の外の外なのです。
食べ残したおにぎりの一つでもいい。何か食べ物を恵んでもらおう。そして電話をお借りしよう。ああ、これで助かった…。やっと帰る事ができる…
旅人はそう思う。
そうしてなだれ込んだ民家の玄関でフト見上げた先に、ふぅふぅ言いながらウンコする加齢臭がいたとしたらそれはもうちょっとした事件ですよね。
お互いにハプニングですよこれ。出会ってはいけない2人が出会ってしまったみたいな昼ドラに近いノリのハプニングですよね。割と国辱モノです。
例えこの後、ウンコを終えた俺から食事を恵んでもらって助かったとしても、何か旅人の心にしこりを残すと思うんです。トラウマが残ると思うんです。旅をやめるに違いない。どこかで再会しても目とかあわせてもらえないかもれしない。
こんな危険性をはらんでいるとは知らず、吉平は今日も無邪気にドアをあけていく。
鬼嫁は自分の時だけは開けられないようにトイレにカギをかけてるけど、それはそれでまた寂しいなぁと思う今日この頃でした。
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今まではある意味、ドアが吉平の行動範囲を制限していたところがあるんだけど、今ではそれすらも出来やしない。
ドアを開けることで吉平は家中どこでも好きなところに行く事ができるようになった。吉平の行く手を止めることはもはや誰にもできやしない。どこでもドアとはまさにこんな吉平のためにあった言葉であったか。
例えばウンコしてたとするじゃないですか。
ウンコの時間ってまあ言うなら個人の時間だと思うんです。陰部をさらけ出し、便座にその身をゆだね迷走する数分間。神すら介入できない完全なるプライベートタイム。自分が自分らしくなれるひととき…。ぼくがぼくであるために。それがウンコの時間、略してウンコなんです。
みんなも食後のウンコとかって至福のひと時だと思うんだけど、9割方開きますからね。トイレのドアが。音もなくスゥ〜…って開くんですよ。これじゃあおちおちウンコも嗜めない。
吉平:「ちゃーちゃーん」
(訳:父ちゃん)
ニヤニヤして悪い顔しながら開けにくるわけです。
まあ俺も仕方がないので「おやおや、遠いところよく来たね」みたいな遠方歓迎スタイルで吉平を出迎えるんだけど、ドアを開けることで満足するらしく、いつも吉平はそのまま去っていきます。
全開で開け放たれたトイレのドアに全開でモリモリしてる32歳の男。心はすでに全壊に近い。
まあ俺もウンコの切れ目なんかを見て、ウンチングスタイルのままサササとドアを閉めに行くんだけど、閉めると吉平はまた開けに来るのでタチが悪い。
ウチは玄関入ってすぐのところにトイレがあるものだから、この状況で誰か訪ねてきたら…と考えると非常にハラハラします。
例えば。一週間くらい何も食べていない旅人が突然やってくるかもしれない。
そういった旅人ってほら、まず食にありつくのが最優先なものだから、インターホンならすなんて心意気持ってるとはとても思えない。突然ドア開けて倒れこんでくるように入ってくると思うんです。
「何…か食べ物…を…」
旅人だって何も好きで飢えてるわけじゃない。
旅先で財布を無くして、さらに交通手段もなくて、それで仕方なく徒歩でトホホな感じで歩き続けて一週間。ようやくみつけた民家だったのかもしれない。
民家を見つけたとき、旅人はどう思ったでしょうか。
この飽食の日本において、よもや食べ物を恵んでもらえない、なんて事があるはずはない。【民家=食事】という図式が旅人にはあるはず。まさか飽食すぎてウンコをしてる人と対面するなんてことは想像の外の外なのです。
食べ残したおにぎりの一つでもいい。何か食べ物を恵んでもらおう。そして電話をお借りしよう。ああ、これで助かった…。やっと帰る事ができる…
旅人はそう思う。
そうしてなだれ込んだ民家の玄関でフト見上げた先に、ふぅふぅ言いながらウンコする加齢臭がいたとしたらそれはもうちょっとした事件ですよね。
お互いにハプニングですよこれ。出会ってはいけない2人が出会ってしまったみたいな昼ドラに近いノリのハプニングですよね。割と国辱モノです。
例えこの後、ウンコを終えた俺から食事を恵んでもらって助かったとしても、何か旅人の心にしこりを残すと思うんです。トラウマが残ると思うんです。旅をやめるに違いない。どこかで再会しても目とかあわせてもらえないかもれしない。
こんな危険性をはらんでいるとは知らず、吉平は今日も無邪気にドアをあけていく。
鬼嫁は自分の時だけは開けられないようにトイレにカギをかけてるけど、それはそれでまた寂しいなぁと思う今日この頃でした。
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